むくみや水太りの気になる方に!防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)の効果や副作用
朝起きると顔がむくんでしまっていたり、夕方に足がむくんで靴がきつくなる……そんな悩みを抱えている方は少なくないと思います。
むくみ解消のために使われる漢方薬はいくつかあります。
その中でも今回は「防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)」について、効能と副作用について解説します。
むくみについて
そもそもむくみの原因は何でしょうか?
私たちの身体は、約60%は水分でできています。
その大部分は細胞内の他、血管、リンパ管、脳・脊髄などの中に存在しています。
水分は体中に張り巡らされている血管やリンパ管を通って、全身へ送られています。
これらの水分は、細胞や血管などを行き来して、細胞に必要な栄養を送ったり老廃物を除去したりしています。
しかし、水分の配合のバランスが崩れ、細胞のすきまに水分がとどまってしまうことがあります。これがむくみです。
むくみは、血管から細胞のすきまへ流れ出る水分が多すぎたり、血管やリンパ管へ吸収される水分が減ってしまうなどの理由で起こってしまいます。
防已黄耆湯はどんな人にいいの?
むくみ改善のために使用される漢方薬はいくつかあります。
その中でも、防已黄耆湯は「大食いでないのにぽっちゃりむくみタイプ」の方に向いている漢方薬です。ダイエット目的で使用されることもあります。
具体的には
- ✔色白で筋肉が柔らかい
- ✔全体的にぽっちゃりしている
- ✔体力があまりなく疲れやすい、胃腸が弱い
- ✔あまり動かなくても汗をかきやすい、多汗症
このような方に良いとされています。
防已黄耆湯のむくみへの作用
胃腸が弱いタイプの人は、飲食の過剰摂取はないのに体が処理しきれずに水がたまっているためむくみやすくなっていると考えます。
そこで、「防已黄耆湯」は、消化吸収を助けながら、余分な水分を取り除き、全身の機能を高める働きをします。
配合されている生薬は以下の6種類です。
防已(ボウイ)
オオツヅラフジまたは近縁植物の茎または根茎。
利尿、鎮痛、消炎作用があり、主に関節炎のむくみに効果があります。
黄耆(オウギ)
キバナオウギまたは同属植物の根。
止汗、利尿、強壮に効果をあらまします。
白朮(ビャクジュツ)
オケラまたはオオバナオケラの根茎。
脾や胃の働きを整えるはたらきをします。
大棗(タイソウ)
大棗は大きなナツメという意味で、ナツメの果実を乾燥させたものです。
胃腸機能の調節作用、鎮痙作用、また緩和薬性作用があります。
甘草(カンゾウ)
マメ科ウラルカンゾウまたはネンキンカンゾウまたは近縁植物の根です。
緩和作用、止痛作用、鎮痛作用などがあります。
また、甘草は大棗同様、他の生薬の薬理作用をうまく調和させる働きもあります。
生姜(ショウキョウ)
ショウガです。
発散作用、健胃作用、鎮吐・鎮嘔作用などがあり、胸がつかえたりげっぷが出たりするのを治す作用もあります。また、身体を温めながら解表し、発汗・発散を促す生薬でもあります。
副作用について
副作用として以下のものが報告されています。
ごく稀にこのような副作用が発生しますので、服用開始後は体調の変化に気を付けておいてください。
間質性肺炎
空咳、息苦しさ、息切れ、発熱といった症状が急にあらわれたり持続したりします。
肝機能障害
発熱、かゆみ、発疹、黄疸、褐色尿、全身のだるさ、食欲不振等があらわれます。
偽アルドステロン症
血圧上昇、むくみ、手足のしびれ、ふるえ、脱力などの症状があらわれます。
むくみに使用されるその他の漢方薬
防已黄耆湯以外にも、むくみに対してよく使われる漢方薬を紹介します。
自分の体質に合ったものを見つけて使用してください。
五苓散(ゴレイサン)
むくみの症状に一番よく使用されている漢方薬です。
利尿作用があり、一時的に体に水分が溜まっているような時に用いられることが多いです。
■こんな方に…
- ・二日酔いになりやすい。お酒を飲んだ次の日のむくみが気になる
- ・トイレの回数が少ない
防風通聖散(ボウフウツウショウサン)
体力のある肥満体型の方に効果的です。身体の熱をさます、清熱や水分循環の改善、便通を促すのが特徴です。
肥満症による便秘、むくみ、高血圧に伴う肩こり、のぼせに用いられる漢方薬です。
■こんな方に…
- ・脂肪太りで便秘しがち。
- ・余分なおなかの脂肪を減らしたい
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
むくみの他に月経痛や生理不順などの女性特有の症状にもおすすめされる漢方薬です。
血の量が足りないことにより栄養不足で起きる巡りの滞りに対して使われます。全身のむくみに使用できます。
■こんな方に…
- ・足腰の冷えを感じる
- ・顔色が悪い、貧血気味だ
- ・汗をかきにくい
あわせて知りたい!むくみに効果的な食事とは
漢方薬を服用することで、多少むくみは改善します。
ですが、それだけではもちろん十分ではありません。
むくみの原因となっている自分のライフスタイルを見直し、改善することも大切です。
特に、からだの「むくみ」と「食事」は密接に関係しています。
むくみに良いと言われている食べ物や食事の摂り方についてもあわせて確認していきましょう。
むくみに効果的な食べ物
余分な水分を排泄する作用のあるものがおすすめです。
■カリウムを多く含む食べ物(利尿作用)
アボカド、バナナ、ニンジン、アーモンド、じゃがいも、海藻類、プルーンなど
■クエン酸を多く含む食べ物(新陳代謝促進)
レモン、トマト、グレープフルーツ、いちご、みかん、キウイなど
■サポニンを多く含む食べ物(利尿作用)
すいか、きゅうり
身体がむくんでいる時の効果的な食事方法
上記で紹介したような食材を積極的に取るようにしましょう。
逆に、塩分の多い食事は体に水分を取り込もうとしてしまうので注意してください。
普段からむくみやすい人は、塩分を摂りすぎている生活をしている人が多いです。
塩分をたくさん含んだ食事でも、一工夫することで塩分を減らすことができます。
例えばラーメンはスープを残す、お漬物に醤油をかけない、などです。減塩は、むくみ対策としてはもちろんですが、健康維持・高血圧・腎臓病などの生活習慣病対策にもなりますね。
また、アルコールの摂りすぎもむくみの原因となってしまいますので注意が必要です。
まとめ
防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)とむくみについて今日は確認してみました。
防已黄耆湯は医療用医薬品として病院やクリニックで処方される他、一般用医薬品としてドラッグストア等でも購入できます。
ツムラ、クラシエ薬品などお多くのメーカーから発売されていますので、自分の体質が思い当たる方はぜひ一度お試ししてみてはいかがでしょうか。