消風散(ショウフウサン)の効果・副作用!どんな漢方薬?
消風散(ショウフウサン)は皮膚の症状が出たときに効果がある漢方薬です。
しかし、漢方薬にはその人にあったものを処方しないとうまく効果が発揮されなかったりします。
せっかく処方してもらったのに、「症状を悪化させた」「危険な副作用が出た」という話もあるなど、効き目や副作用が心配になる方もいるでしょう。
そこで、消風散の効果と副作用について詳しく紹介します。
皮膚の疾患と漢方医学
まず、漢方医学では、肌のトラブルは血や水が皮膚に巡っていないと考えるのが基本です。
逆に、水が溜まることで湿疹などの症状が出ると判断します。
そのため、体内で起きた問題や疾患が内から外へ皮膚の症状に出ているとして、薬で内側から改善することを目指すのが漢方薬におけるスタンダードな解決方法となります。
皮膚の病状に汎用的で使い勝手の良い漢方薬としては、この消風散が挙げられます。
どんな効能がある?
消風散は、夏に起こりがちな皮膚の湿疹や炎症に効果があります。
特に原因がはっきりせず、けれども症状だけは強く出るタイプの乾皮(中程度)の症状改善に期待できます。
他には、蒸れることで起こるあせも、白癬菌が原因となる水虫、原因不明の赤みなどに効果があります。
また、皮膚の異常が繰り返し生じて常態的に皮膚の炎症や湿疹が生じる慢性的な皮膚炎にも最適です。
アトピーに有効?
皮膚の症状は漢方医学における乾(乾燥)と湿(水が蓄積)に分かれます。
その中でも消風散は乾燥しすぎず、湿にもなりすぎない中間が処方の目安となります。
漢方を扱う病院や薬局では、乾燥と湿潤のそれぞれに効果のある漢方薬であることから幅広く使用されています。
特に消風散は乾燥と湿潤の凡用型の処方が可能ですから、症状や皮膚の状態がいまいちはっきりしない症状、軽度のアトピー症状、ひどすぎず弱すぎずというあいまいな症状などであっても飲むことができます。
性の症状に効く
局部の熱感(デリケートゾーンなどのトラブル)に効くなど、女性に嬉しい効能があります。
特に生理の時期は、皮膚のトラブルだけでなく、さまざまな症状が襲ってくることがあります。
症状を緩和すると同時に体の状態や精神的な欝の状態を改善するためには、一般的に売られている生理痛薬や痒み止めよりも消風散などのように漢方薬のほうが効果があったりします。
市販のツムラ漢方薬の飲み方と服用のタイミング
消風散を飲む症状が皮膚に現れる場合、1日に2~3回を基本のセットとして、1回1包を飲むというのが顆粒タイプでは普通です。
エキスタイプではそれぞれに設定された分量で1回分を飲みます。
以上は成人の場合で、成人と子どもの年齢区分ごとに用量が細かく分かれます。
成人が1包とすると、年齢が低い区分になるごとに1/2~1/3など1包の内容量を分割して量を減らしていくイメージです。
加えて、2~3歳以下の幼児には使用してはいけないなど、親御さんは漢方薬を用意する上での基準を知っておくことが大切です。
即効性がある?
飲むときは、分量と飲む時間帯を守ります。食前・食間に服用を行い、食後すぐに飲まないように注意します。
食後すぐだと、生薬の厳密なバランスが崩れて、うまく効果が出てくれないことがあるからです。
逆に言えば、漢方だからと言って遅性であるわけではなく、むしろ即効性の効き目をもたらしてくれるのです。
また、成人であるのか、体重はどのくらいか(標準と比べて離れていないか)など、服用量を一定にするよりも、人に合わせて処方箋を漢方医から受けるほうがより漢方医学的に正しい処方であり、正しい飲み方となります。
精神作用
人は日常社会の中で多かれ少なかれストレスを感じているものです。
特に皮膚の症状は人間(親子)関係からくる精神的な問題へのケアも必要になります。
そのため、心当たりのある方は、消風散とは別に理気剤を別に処方してもらうのがよいでしょう。
特に漢方の考え方では、心身一如で精神と体が一体となっているために、精神状態が体の症状を引き起こしていることがあるという考え方をします。
今ある西洋医学の心療内科と皮膚科が別々にあるのとは対照的な扱いといえます。
生薬配合の成分
漢方はそれぞれ独自の生薬配合によって独自の効果を得ることに成功した歴史ある薬です。
消風散には、以下の生薬が決まった分量でそれぞれ配合されています。
- ・甘草(カンゾウ)
- ・地黄
- ・防風
- ・荊芥
- ・木通
- ・蒼朮
- ・知母
- ・石膏
- ・苦参
- ・当帰
- ・牛蒡子
- ・胡麻(ごま)
- ・蝉退
主成分の中に他の医薬製品と飲み合わせがよくないものがあるため持病のある人や別の疾患でまだ投薬期間中の場合は気をつけましょう。
また、まだ飲んではいないけれど別の病院で内服薬を処方される予定の場合には、消風散を服用中であることと、先に挙げた生薬を医師に伝える必要があります。
薬の成分によっては、効きすぎてしまったり、逆に阻害したりすることがあります。恐いのは組み合わせによって重篤な症状が体に副作用として起こる可能性があることです。
服用を控えるのが適切なケース
それぞれ服用を控えたほうが良いケースを見ていきましょう。
悪化が考えられるケース
まず小児に該当する子どもへの処方です。小児の場合は体力の回復に留意する必要があります。
そのため、服用の際には、補気剤の漢方を別に処方することが検討されます。次いで、症状が悪化する可能性のある人です。
処方するのは中級程度以上の体力を保持している健康な人です。体力が減少しているときに使用すると、逆に体調の減衰が悪化することがあるからです。
消風散は分泌を抑えてしまうため強いかゆみや分泌物の量が多い湿疹などは使用すべきで、反対に乾燥がひどく状態が悪化しやすいならその症状には向いていないのです。
最後に、胃に何らかの症状があるか虚弱体質の場合は使用を慎重に行うことです。強く胃腸の副作用が生じることがあるためです。
妊娠中は使用しなければならないということでなければ使わないようにします。高齢者は、体内の生理機能が弱っていることがあるため、副作用に注意して飲むと良いでしょう。
特に一人暮らしで副作用が出たときに対処できる環境をつくっていないといざというときに命にかかわります。
どんな副作用があるの?
まず胃腸の症状では、消風散を飲んだ後に胃の不快感や吐き気、食欲が出ないなどの副作用が起こることがあります。
代表的なものとして、下痢、じんましん、赤い発疹、悪心などが主な副作用として知られています。
これらは、必ず出る副作用の症状ではなく、人によって体質に合っていなかったりすることで起こる場合が多いです。
また、体内の疾患などによって起こる症状の場合は、人それぞれとなります。
甘草(カンゾウ)の人体影響
消風散は甘草(カンゾウ)が含まれている漢方薬のため、循環器系の負荷があることを念頭に置く必要があります。
高血圧の方は特に注意が必要で、血圧、血中の血清カリウム値などに留意しておかないと、副作用として偽アルドステロン症を起こすことがあります。
それに加えて、偽アルドステロン症の低カリウム血症がさらに疾患を招き、ミオバチー(筋力の低下など起こす)を発症すことがあります。
使用期間は?
長期間(3ヶ月~半年)使用しても何の効果もなかったり、逆に症状が悪化するような場合は、医師や薬剤師、漢方医などに相談します。
そこで別の漢方薬を処方してもらうのが最適です。人の体はそれぞれ状態が違うのと同時に、それぞれ症状も個々で違うものです。
症状の細かな違いや患者さんの些細な生体の違いにかかわらず抗生物質など処方されるのとは違います。
現在の状態を見て処方を見直してもらうことで症状が良くなるといったように、それが漢方の優れたところでもあります。
内服薬だけにこだわらず、漢方の外用薬の併用をすることがお勧めです。
同時にしておくこととして、肌ケアを加えた血の巡りをよくする摩擦やマッサージなども人によっては症状を和らげることがあります。