小柴胡湯(ショウサイコトウ)の効果・効能と副作用!恐ろしい死亡例まで
小柴胡湯(しょうさいことう)は胃炎やかぜの後期の諸症状などに効果がある漢方薬ですが、副作用による死亡例が話題となったことがあります。
1996年に小柴胡湯事件がおこりました。小柴胡湯の副作用により10人が死亡したとマスメディアが大々的に取り上げ漢方の安全神話が崩れたというものです。
当時、小柴胡湯は肝機能障害や胃腸障害がある人に対して証を関係なく処方されていたと言われています。その数は100万人にものぼり医療用の全漢方薬のシェアの3〜4分の1もしめると言われるほどたくさん処方されていました。
もともと、小柴胡湯による死亡の原因となった間質性肺炎が副作用として起こる確率は10万人に4人と言われています。非常に確率としては低いのですが、過剰に処方されていたことも副作用発生の人数を増やす結果となったのかもしれません。
今回は、ネガティブなイメージが歴史的についてしまった小柴胡湯(しょうさいことう)の効果・効能と副作用について解説していきます。
小柴胡湯(しょうさいことう)の効果・効能
小柴胡湯は、一般的に、肺炎、感冒、慢性肝炎、胃腸疾患などの症状に用いられる漢方薬の処方です。
「柴胡(サイコ)」と「黄芩(オウゴン)」という生薬の組み合わせが中心となる方剤を柴胡剤といい、小柴胡湯はその柴胡剤の最も基本となる方剤です。
さらに、
- 長引く風邪
- 食欲がない
このようなときにも用いられ、「体力中等度」の方で、脇腹(腹)からみぞおちあたりにかけて苦しく、食欲不振や口の苦味があり、舌に白苔がつくような方、食欲不振、はきけ、胃炎、胃痛、胃腸虚弱、疲労感、かぜの後期の諸症状にも効果的な漢方薬です。
小柴胡湯の配合成分(生薬)
小柴胡湯には、以下の生薬が配合されて作られています。
- 柴胡(サイコ)
- 黄芩(オウゴン)
- 半夏(ハンゲ)
- 生姜(ショウキョウ)
- 大棗(タイソウ)
- 人参(ニンジン)
- 甘草(カンゾウ)
脇や胸に重苦しさ・張りなどの症状を治す作用がある「柴胡、黄芩」、吐き気・嘔吐や悪心などの症状を緩和させる「半夏」、副作用を緩和する目的で多くの漢方方剤にペア加えられることがある「生姜、大棗」、各種の生薬を緩和・調和する目的で多数の漢方方剤に配合されている「甘草」、補性薬の一つ「人参」が配合されています。
小柴胡湯のこれまでに発見された活性成分には、「バイカリン」「バイカレイン」「グリチルリチン」「サイコサポニン」「ギンセノシド」「ウォゴニン」「ギンゲロール」などがあり、現在も臨床試験が行われています。
小柴胡湯の重大な副作用と死亡例
正しい飲み方をすれば、小柴胡湯は様々な症状にん効果的な漢方薬です。
しかし、「インターフェロン」との併用や肝硬変、肝癌の患者に投与してしまうと、間質性肺炎を起し死に至ることが確認されています。
インターフェロンとは、動物体内で病原体(特にウイルス)や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して細胞が分泌する蛋白質のことで、ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きをするサイトカインの一種のことです。
そのため、小柴胡湯は、
- インターフェロン製剤を投与中の方
- 肝硬変、肝がんの方
- 慢性肝炎での肝機能障害で血小板数が10万/mm3以下の方
このような患者への投与は問題があるとされ、禁忌となっています。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、小柴胡湯(しょうさいことう)の効果・効能と副作用について紹介してきました。
基本的に漢方薬は副作用が少ないと言われていますが、中には併用してはいけないものや症状があります。
体質にあったものを選んで服用しましょう。